Shibuya pixel art 2022応募作品一覧

Shibuya pixel artのコンテストの概要に関する記事はこちら
わたしは今回6作品応募しています。

総RT数で選ばれるオーディエンス賞も用意されているので、お気に入りの作品をRTしていただけると大変嬉しいです
ドット絵は描き始めたばかりで実験的な作品も多いので、感想コメントお待ちしております。

コンセプトは大切なことですが、作者があまりにも事細かに作品について解説してしまうとそれが正になってしまい、見る側の鑑賞の自由を奪ってしまうことがあるので、技法的な解説を中心に紹介していきたいと思います。

制作環境はAseprite+板タブを使用しています。
板タブについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

「Emotion」

縦長の作品を作りたくてTwitterで画像トリミングされないアスペクト比を調べたはずが、上手くいかずトリミングされてしまいました…(携帯で見る場合はタップ推奨です)

ご覧になってわかる通り「歌舞伎」をテーマに制作しています。
伝統的なものをモチーフにするときは、特に失礼のないようにしたいので自然と身が引き締まります。

模様一つとっても意味があるので意図的に用いる場合を除き、全体を通して辻褄が合うようにしたいという思いがあります。
今回はメトロポリタン美術館のコレクションにある「矢の根」の木版画を参考に作成しました。

Ichikawa Danjuro II in the Role of Soga Goro from the Play “Yanone”

「Prism」

ツイートにもある通り、Limited Pixel Art賞という決まったキャンバスサイズの作品に贈られる賞の賞品がどれも魅力的なので、私は一番小さい規格の16×16ピクセルに挑戦しました。

バナナが剥けるとまた別のカラーのバナナが表れるループ作品になっています。
それだけだと単調なので背景に動きのあるモーションをつけて飽きないムービーになるようにしています。
見ていて心地よいモーションというのは言語化するのが難しく、今後も試行錯誤して理解を深めていきたい分野のひとつでもあります。

「シブヤ入国ゲート」- Shibuya Immigration Gate

こちらは比較的長めのアニメーション作品になっています。
シブヤの境界線はどこなのか考えた時に多くの人にとっては改札を越えた先がシブヤの始まりであると定義しました。
また若者が地元からおしゃれをしてお出かけに来たり、夢を追う人が挑戦したりと好きなものを追求できる雰囲気を感じます。
つまり普段の自分とは違う自分になれるまたは出会える街であるため、その場所へ向かう期待や気持ちの変化を表したいと思ったことが構想のきっかけです。

シブヤという土地が街を構成するのではなく、そこに集う人々が街のイメージを作ると思うので、多様性のある登場人物を描き、個人が思い思いの姿になることでポジティブな変化のイメージを表しています。

技法的な観点では、頭の中のイメージに沿ってスタートから作り始めたため、今回の応募作品の中で一番時間がかかってしまいました。
絵コンテを作らないとゴールまでの作業量が見えず、計画的に制作することができないということがわかりました。
また長めのアニメーションを制作する際はそれぞれの動きの速度を調整することが、とても重要であることを実感しました。(この作品でも意識したつもりですが、もう一歩というところが正直な感想です。)

「影絵」- Shadow play

こちらは縦長の作品に再チャレンジしたものの、また失敗してトリミングされてしまいました。(携帯で見る場合はタップ推奨です)

ピクセルアートを作成していく中で、目の錯覚を利用した表現と相性がいいことに気が付きそれを形にした作品です。
わたしは普段のイラスト制作においても認知バイアスを取り入れ、その効果を狙って制作することがあります。
錯覚をイラストに取り込もうとすると描写的な要素が多いため難しさがありますが、ドット絵だとシンプルで幾何学模様を作りやすいこともあり、その効果を発揮しやすいと感じました。

最初に作った「Emotion」という作品に少し似ていますが、こちらは完全にモノクロ2色でモチーフも自由に作成しているという違いがあります。
緩急や対比効果でアニメーションのレベルも初期より上がっているので見比べると発見があります。

今回は比較的小規模な作品ですが、エッシャーのだまし絵をオマージュした無限回廊のような大型の作品もいつか作ってみたいと思います。

「Silent Music」

Limited Pixel Art部門(16×16)向けに制作した作品の2つ目です。
耳の不自由な方への音楽、目の不自由な方への絵といった表現を以前から考えていて、アートというもの自体が抽象的であるため同じ味わい方を求めるのではなく、新しい鑑賞方法を生みだしたいという思いがあります。

形のないものから自分自身が感じとった感覚をイメージに起こすいわば音とリズムの通訳に挑戦しています。
言語通訳も全てが=でないように、通訳者の感性や能力が表れるため正解を求めるより、感じ取って伝えることに重きを置いています。

今回の応募作品の中で一番のびのび自由に作れた作品といえます。
16×16だと本当に限られたピクセル数ですが、やろうと思えば案外何でも描けるものなんだと実感することができました。

参考:日本の伝統音楽>楽器図鑑(演奏形態_歌舞伎) https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc6/edc_new/html/4004_kabukibuyo.html

「Soft breeze」

こちらはこのコンテストの応募期間の最後に提出した作品です。
この一か月の集大成といえる長編作品になっています。

256×144ピクセルでサイズも一番大きい作品です。
これくらいのキャンバスサイズだとドット絵らしさを残しつつある程度細かい表現もできるので気に入りました。

ピクセルアートはドットなのでどうしてもカクカクとした印象を受けやすいですが、本作品では極力直線や四角形を使わず、曲線を意識したモチーフを登場させています。
ドット絵が本来得意である表現に逆行してあえてドット絵ではあまり表現されることが少ないものに挑戦しています。
アンチエイリアスを使わず、フラットデザインを活かした一見シンプルなモチーフに、タイトルにもある通り”やわらかい風”を感じるようなアニメーションを組み合わせることで、鑑賞者に心地よい印象を与える効果を生みだしています。
またせわしない印象を与えないように個々の動きの速度調整を丁寧に行っています。

「シブヤ入国ゲート」- Shibuya Immigration Gateでは絵コンテを書かずに作業が長期化してしまった反省を活かし、この作品では先に絵コンテを作ってからシーンごとに作成する手法で取り組みました。
繋ぎ方を後から入れ替えることもできるので、やはりこの方が理にかなっていますね。

ドット絵はレトロであったり、サイバーパンク的な世界観と組み合わされることがよくあります。
そういった世界観が嫌いなわけではありませんが、わたし自身は世代的にドット絵に懐かしさを感じることがなく画法のひとつとして捉えているため、既存のイメージを一旦切り離して考えたいという思いがありました。
本作品は抽象的な表現が多く、作者としてはもちろんひとつひとつに意味を持って作っていますが、それを1から説明するのではなく、雰囲気を感じとって味わうような鑑賞の楽しみ方をしていただけたら嬉しいです。
夢見心地でドリーミーな絵作りを意識し、アニメーションというよりはコンセプトムービーやPVに近い作品となっています。

わたしはこの作品で自分が作りたかったものを理想に近い形にして表現することができ満足していますが、これを第三者が見てどういった感想をもつか大変興味があります。
不思議なことに作品には作者自身も気が付かない要素というものが沢山あるので、そういった気づきを得ることによって、よりその作品の完成度が高まるということを今まで何度も経験しています。
今回のコンテストで終わらず続編を作成してピクセルアートの可能性を探っていきたいと思いました。

最後に

一か月(実質3週間くらい)ピクセルアートにどっぷりだったのでツールの使い方や基礎力も上がり、成長を実感することができました。
できることの幅が広がるとやりたいことも増え、作品作りに弾みがつきよい連鎖を生んでいたと思います。
結果がどうなるかはさておき、今は作るだけ作りきったという満足感があります。

総RT数で選ばれるオーディエンス賞も用意されているので、作品が気に入ったらTwitterでRTしていただけると大変嬉しいです。
また質問や感想もお待ちしております!

今後のスケジュールとしては、一次審査が通れば渋谷のヒカリエで展示していただけるそうので、結果を楽しみに待ちたいと思います。

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