『桜Exhibition2022』作品紹介 その１に引き続き2点目の作品について紹介させていただきます。
２点目の作品はこちらです。
サンプル文字の入っていない高画質なものは後記する作家ページから見ることができます。
『二月の雪、三月の風、四月の雨が美しい桜を運んでくる』-
「March winds and April showers bring beautiful cherry blossoms」
はじめに
わたしは以前からデジタルイラストでアナログの質感を表現することに挑戦しています。
一見矛盾しているように思われるかもしれませんが、デジタルだとやり直しが自由に利く分アナログに比べて偶然性が少なくなってしまうことを感じていました。
全てをコントロールしなければならないとなると絵を描くことのハードルがぐっと上がります。
そういった意味では、やり直しができなくても自然と表れるにじみやぼかしによって救われていたのだと思います。
アナログならではの質感というのは情報の密度が高くなるため見る側を飽きさせないというのも魅力的です。
そういったものをデジタルイラストで活かせるようにしたいというのが、私の目標の一つです。
コンセプト
“手”というモチーフは、表情や感情、その人の生き方が表れるのでそういったものが伝わるように質感を大切に丁寧に描きました。
またポスターに印刷して実際に飾ることを意識した画作りを心掛けています。
こういったことを意識するのも印刷物として展示する機会ならではのことなのでとても勉強になります。
画面上部から桜の蕾が流れるように花開き、やがて散って青葉に変わる姿は時間を表しています。
桜が散るというのはどうしても感傷的な切ないイメージと結び付けられることがあります。
しかし桜が散ってもまた来年も同じように花咲かせるということは毎年繰り返す命の営みの一部であって決して悲しいことではないということを希望としてとらえ表現したいと思いました。
もちろん生きていると楽しいことばかりではなく、悲しいことややり切れない思いをすることがあります。
まだ20年そこらしか生きていない私でもしんどいなと思う時が何度もありました。
しかしその障害を乗り越えて傷が癒えた時に前より少し強くなっている自分に気が付きます。
先ほど手にはその人の生き方が表れると書きましたが、それは年輪のようなものではないでしょうか
木の成長というのはゆっくりに見えても確実に大きくなっていて、天候やその他の要因で傷がついたり曲がったりしながらも、それを受け入れ形を変えながら成長していく姿に励まされることがあります。
ぷくぷくの生まれたての赤ちゃんの手も愛らしいですが、繰り返す月日の中で様々なことを経験した手というのも味があって美しいものだと思います。
今回の作品に描いたモチーフはそういったものを表現したいと思い、細部まで丁寧に書き込むよう意識しました。
使用ツール/ソフトウェア
iPad (第7世代)
Applepencil（第1世代）
・Adobe fresco
下書き、ラフ
・Procreate
塗り、仕上げのテクスチャ
・Adobe Photoshop
仕上げ、データ入稿のための処理
ふりかえり
作家本人がコンセプトを公開するとそれが正となってしまうことに悩んでいました。
しかし表現に注力してシンプルなモチーフを描くことで解釈の幅が広がることで、今回この作品にコメントくださる方が多くいらっしゃって皆さんの感想をお聞きできたのがとても嬉しかったです。
技術的な面では大まかな形が取れた後に上から紙のテクスチャを重ねることで、デジタルイラストでありながらアナログ作品のような面白い表現ができたと思っています。
完成後に重ねるより中盤からテクスチャを意識して描き進めた方が馴染みが良く、色を乗せた時の偶発性が生まれるという発見もありました。
色味やテクスチャをアナログに近づけようとする試みはこれからも挑戦していきたいと思います。
作家プロフィールページのご紹介
こちらのリンクから私のプロフィールページにアクセスできます。
桜exhibitionではオーディエンス賞というものが用意されていて、会場のアンケート、ポスター購入、SNS応援シェアで得票が一番多かった作家さんが受賞できるものです。
わたしの作品がいいなと思ったらぜひ画面右下から応援シェアをお願いします。
感想コメントもお待ちしております！
本会期の展示は既に終わってしまいましたが、下記のオンラインショップでA3サイズのポスターを購入することができます
厚手の高級紙に高画質な印刷で私自身も利用したことがあるのですが、驚くような品質でした。
他の参加作家さんのすてきな作品もこちらから購入できるのでご興味ありましたらチェックしてみてください！
コメント