「今も、イラストレーターアートがおもしろい」展_作品紹介

銀座中央ギャラリーにて開催中の「今も、イラストレーターアートがおもしろい」展に展示させていただいている作品についてご紹介させていただきます。
ここ数年はデジタル作品がメインでしたが、今回はアナログメインで制作しています。

私自身はイラストレーターというよりデザイナーに近い仕事をしているため厳密には表題から少しずれた立ち位置だと思っています。
とはいえイラストと絵画の線引きや肩書を明確に定義することは難しいので、今回は”商業的”な目線で制作物を作成する立場という意味でとらえています。

写真だとどうしても詳細な色味やタッチが写しきれないところはありますが、作品の説明とともにご参考程度に作品写真もアップします。

作品全体のテーマ

突然ですが、皆さまはワイルドフラワー(ネイティブフラワー)というジャンルの植物をご存知でしょうか?
オーストラリアや南アフリカなど南半球側に自生する花を日本の花業界では「ワイルドフラワー(ネイティブフラワー)」の総称しているようです。

乾燥地帯や熱帯の気候が原産地なので、姿形がかなり特徴的で日本の花にはないパワフルでエネルギッシュな魅力があります。

『ピンクッション』『バンクシア』『カンガルーポー』など名前も特徴的です



ネイティブフラワーで一番代表的ともいえる直径20㎝ほどもある「プロテア」というお花は南アフリカ共和国の国花にもなっています。
私も写真でした見たことがなかったのですが、たまたま大型のガーデニングショップで実際の生花に出会う機会があってその迫力に衝撃を受けてぜひ描いてみたいと思ったことがきっかけで今回のメイン作品に取り入れました。
それにあわせて全体を通して花をテーマに作品を構成しています。

『プロテア』サイズや色によってさまざまな品種があります

メイン作品について

『フローラと夜明けの庭園』 ーFlora and the Garden of Dawn
アキーラ絵具、顔彩、メディウム/木製パネル
2023 F4 332×242㎜

こちらの作品は最初に紹介したように「プロテア」を取り入れた作品です。
赤やピンクなど色も様々ある中で特に白いプロテアが女性的な印象を受けたので花のイメージからモデルを作り上げました。

正面のポートレートを描く際は表情はあえてあまり作り込まず、見る方によって自由な受け取り方ができるようにしています。
唇や眉のちょっとした角度で表情が変わってしまうので久しぶりのアナログ作品ということもあり、一番時間がかかった個所でもあります。

周りにあしらっているのは日本でも有名なユーカリです(実はユーカリも南半球原産なので葉物のワイルドフラワーなんです!)
私も実際に2種類のユーカリを育てているので、枝の剪定がてら実物を手元に置いて観察しながら描くことができました。

中作品について

『微睡みにさす光』 ーSoft light shining through slumber
アキーラ絵具、メディウム/木製パネル
2023 F3 273×220㎜

こちらの作品は写真撮影における多重露光(一枚の写真に複数の画像を写し込む技法)表現を絵画に取り入れた作品となっています。
デジタルアートの世界ではPhotoshopを用いたフォトコラージュなどで見かけることがある表現ですが、ペインティング界隈ではあまり見かけない気がします。

最初に手と花の下絵をデジタルで描いて実際にPhotoshopで画像合成し、重ね具合や色調を調整しています。
モチーフにした芍薬はオレンジやピンクなど様々な色があるのですが、暖色系は肌のトーンと喧嘩してしまったので白を選びました。(手軽にカラーを変えて色味合わせができるのもデジタルならではの良さですね)

アキーラ絵具は水分量によって油絵風の厚塗りや水彩風にすることもできるので、今回のように1枚の絵に複数のトーンや質感を表現するのにはぴったりでした。

まさにデジタルとアナログの長所を合わせた作品で二つのイメージが重なった面白みのある表現ができたと思っています。

小作品について

上段:『Calla』『Anemone』『Lily』
下段:『Tulip』『Peony』『Ume』
アキーラ絵具、アクリル絵具、顔彩、メディウム/木製パネル

2023 S0 180×180㎜

小作品はアンデルセンの童話「おやゆび姫」からインスパイアされたシリーズ作品となっています。
それぞれの花の印象や花言葉から服装や髪型をイメージしました。
基本のカラーは緑、青、紫なのですが、同じアキーラ絵具でもメディウムによって違ったマチエールをお楽しみいただける作品になっています。

このシリーズだけ他の2つとタッチが異なる理由は、私自身もともとリアルタッチな絵を描くことが多いのですが、ただ写実的に描こうとすると技術力ばかりに重きを置いてしまい面白みに欠けてしまうのではないかという懸念があり、絵具が混じり合うままに偶然性を生かしてのびのび描くというのが近年のテーマとなっているからです。

また普段私はモーションデザイナー(映像において動きをデザインする仕事)として働いているので、ゆくゆくはこのシリーズをアニメーション作品にしたいという構想があります。

18×18㎝の小さめサイズなので初めて絵を購入するという方でもお手に取りやすい作品になっています。
木製パネルなので立てかけて飾ることもできますし、画鋲があれば簡単に壁に飾ることもできます。

グループ展の詳細情報

「今も、イラストレーターアートがおもしろい」展
2023/11/27~12/2 12:00~19:00(最終日17:00まで)
銀座中央ギャラリー 奥野ビル4階411 入場無料

銀座中央ギャラリーはいろいろな路線からアクセスのいい場所にあります!
都内へお越しになる際はお気軽にお立ち寄りください。

「最寄り駅情報」
・東京メトロ有楽町線 銀座一丁目駅 10番出口→徒歩1分
・東京メトロ銀座線 銀座駅 A13出口→徒歩5分
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